Posted by kiri
on 2012 年 5 月 30 日
Web,
その他,
地図 /
No Comments
以前、いろいろなAPIを組み合わせて、Ronbun Plotterという怪しげなサイトを作ったけれど、まだAPI等の部分が動いているようなので紹介。
http://www.tkirimura.com/ronbunplotter/
Ronbun Plotterの画面(「郊外 高齢化」で検索)
何ができるサイトかというと、どんな地域を対象にした論文が、いつ、どれくらい発表されたかを、地図とタイムラインで表示するというもの。例えば、「桐村喬」と入れてみると、これまでの私の論文の対象地域(基本的に大阪と神戸と京都)がプロットされる。タイムライン的には、2005年ぐらいから。論文の情報はCiNiiのもので、1. CiNiiのAPIを使って入力したキーワードが該当する論文が取得され、2. 各論文のタイトルに含まれる地名がYahooのAPIで抽出され、3. 地図とタイムラインにプロットされる、という処理の流れになる。
処理速度はかなり遅いので(いろんなAPIを挟んでいるので)、あまりたくさんの結果が出るようなキーワードは入れないほうが安全。
タイムラインを見るだけでも、どんなキーワードがどの時代にたくさん取り上げられているかということがなんとなくわかる。地理学的な研究テーマなら、タイトルに特定の地名が含まれることが多いので、どういう地域で研究が多くなされているか、ということもわかる。ただし、地名抽出の精度はそれほどよくなく、間違っていることも多々あるので要注意。もう少しいい精度のものを自前で開発するとかすればいいのだけれど・・・。
なお、地名が英語なのは、ロンドンにいるときに少し編集して、向こうの同僚に見せようとした(少し見せた)ため。地名抽出など、改良することができたら、ついでにそのあたり修正します。
Tags: CiNii, 地図, 論文
Posted by kiri
on 2012 年 5 月 25 日
GIS,
Web,
その他,
地図 /
1 Comment
さて、ArcGIS Onlineの続き。今日、ArcGIS Online上で作成していた『京都市明細図』のマップを公開した。
URLはこちら
京都市明細図 on ArcGIS Online
京都市明細図は、京都府立総合資料館が所蔵している大縮尺(1,200分の1)の地図で、一昨年から立命館大学(文学部・矢野桂司教授を中心とするグループ)とデジタル化などに関する共同研究が進められてきた。京都市明細図は、昭和初期に作成され、戦後にも情報が書き加えられているなど、戦前・戦後の時期の京都の状況が反映された貴重な地図で、これまでに研究グループでは、ワークショップなどを開催してきた。
ちなみに、すでにGoogleマップ上に明細図を表示するサイトも公開されている(http://www.geo.lt.ritsumei.ac.jp/meisaizu/googlemaps.html、これは同僚の瀬戸寿一氏によるもの)。こちらは、PCでの閲覧が中心かもしれない。
直前の記事にもあるように、ArcGIS Online上で公開すると、iPadやAndroid端末のArcGISアプリを使って、地図にアクセスすることができる。京都市明細図も、もちろんiPadなどからアクセス・表示できるので、ぜひ利用していただきたい。GPS付きのAndroid携帯電話で見るのがオススメです。
Tags: ArcGIS Online, 京都市明細図
Posted by kiri
on 2012 年 5 月 22 日
GIS,
Web,
その他 /
No Comments
最近、ArcGIS Onlineを積極的に使い始めた。ArcGIS Onlineはその名のとおり、ESRIが作ったサイトで、YouTubeの地図版といった感じのもの。ユーザーが独自の地図を作って、それを共有する、という仕組みは今までにもいくつかあり、Googleのマイプレイス(旧:マイマップ)や、これまで2回行ったUCLのCASAでもMapTubeやgemmaというサービスが作られている。
ArcGIS Onlineの有利な点をいくつか挙げると
- 日本語対応
- レイヤの重ね合わせが簡単
- Bing Mapsなどのベースマップになるレイヤが利用できる
- 自分で地図を作ることもできる
- ArcGIS Serverで公開している地図もレイヤとして利用できる
- iPhoneやiPad、Android携帯からも閲覧できる
- 全員に公開しなくても、自分だけor特定のグループだけで閲覧できる
という感じ。ArcGISユーザにとって、何といっても便利なのは最後の3つ。ArcGIS Serverでは普段使うmxdファイルと地図データだけで地図の公開ができ、ArcGIS Online上で地図を作成するまでの操作もかなり簡単にできる。作成したマップをとりあえず自分だけ閲覧できる状態にして、iPadにArcGISのアプリをインストールして表示すれば、モバイル環境で地図データの閲覧ができる。モバイル環境での編集もできるようだけれど、これにはArcSDEサーバが必要らしい(まだ実験していない)。
ここ数日、iPadでいろいろと表示させてみて思ったのは、これを使うと、巡検やフィールドワークに非常に便利なのではないか、ということ。現地に行って、古い地図を見ながら昔の景観を想像する場合、現在地を古い地図上で探そうとすると、比較のための基準となる道路などがなかったりするので、どこにいるかわからなくなることが多い。ジオリファレンスされている、という前提が必要なものの、そういう地図データがあれば、ArcGIS Onlineなどを通じてiPad上のArcGISに表示すれば、GPSなどで現在地がわかるし、現代の地図のレイヤからも位置が想像できる。ArcGIS Onlineで地図を共有すれば、フィールドワーク・巡検の同行者も同時に地図を見ることができるし、例えば昔のことを聞き取るときなどに、調査対象者に地図を見せながら聞き取る、なんてことも簡単になるだろう。機会があればいろいろと実験してみたい。
Tags: ArcGIS, iOS, Online, Server
Posted by kiri
on 2012 年 5 月 17 日
その他,
授業 /
1 Comment
先週も授業関連の話を書こうとしたが、ちょっと時間がなかった。今週は、農業に関連する話として、チューネン・モデルを取り上げた。
チューネンの孤立国や地代曲線は、地理学に限らず経済学でも、基礎的な理論として扱われている。授業では、古今書院から発行されている「大学の地理学」シリーズの『人文地理学の基礎』を参考に、モデルの説明をした。本当は、University College LondonのCASA (Centre for Advanced Spatial Analysis) のウェブサイトで公開されているソフトを使って、チューネンモデルの仕組みをより視覚的に理解してもらおうと思ったのだけれど、情報教室でもないし、その部分だけに時間を割く余裕がなかったのとで、あきらめた。
チューネン・モデル
画像は、そのソフトの実行画面。CASAのサイトで公開されているものの、英国Open UniversityのSteadman教授が主に初学者向けに作成したもの。都市をいくつか配置することができるし、河川や鉄道を引いて、輸送コストを変化させることもできる。また、非農業地域などを設定して、現実的な配置を考えたり、作物の市場価格を変えたりして、いろんな状況をシミュレーションできる。授業中でPCが使える環境下であれば、これを使ってかなりわかりやすく、チューネン・モデルを理解してもらうことができそうだ。
チューネン・モデルのような基礎的な理論・モデルを説明できる、こういうソフトウェアというのは結構あるんだろうか。地理の世界ではあまり聞かないような気がする。時間があれば何か作ってみたいところ。
Posted by kiri
on 2012 年 5 月 5 日
Web,
地図 /
No Comments
またまた授業のはなし。前回の授業で自然堤防の話をした。時間と資料の関係で、自然堤防の実例の紹介ができなかった。今日、ふとGoogleマップを見ていたら、ちょうど良い場所があったので紹介。
大きな地図で見る
場所は、越後平野のなかの新潟市と燕市の間ぐらいの地域。西(左)のほうを南北に走る県道383号沿いの集落は自然堤防上にある。国土地理院の2万5千分1地図情報閲覧サービスで見ると、自然堤防上は集落があり、畑も点在している。これは水はけがよいため。一方で、圃場整備されているものの後背湿地の土地利用はほぼ水田。この周辺は、都市化がそれほど進んでいないので、自然堤防を見つけるのが比較的簡単。題材としてはちょうどよかったかもしれない。
今更ながら、Googleマップは、授業でもいろいろ使えて便利。今回の場所は、解像度も比較的良く、色合いもちょうどいい感じで、自然堤防が一目瞭然でよかった。授業中も、津南町の河岸段丘とか、室戸岬の海岸段丘とかをGoogleマップの航空写真や地形レイヤを使って紹介した。ただし、地域によっては雪景色だったり(以前、福井の中心市街地は冬の航空写真で、白黒写真のようだった)、すぐ隣の地域で季節が違ったり、解像度が違ったりするので、すべての場所で使いやすいわけでもない。地形の分類ごとに、代表的な地域のGoogleマップへのリンク集とかがあると便利な気がするが、いつの間にか航空写真が更新されてしまうこともあるのでちょっと大変だろうな。Wikipediaのようなシステムがいいかもしれない。