2012 年 12 月 の記事

MMMを更新しました(2013年1月1日まで対応)

Posted by kiri on 2012 年 12 月 14 日
GIS, Web, 地図 / No Comments

遅くなりました。先ほどMMMを更新しました。今回の更新では、埼玉県白岡市の市制(2012年10月1日)と、千葉県大網白里市の市制(2013年1月1日)の情報を追加し、2013年1月1日まで対応できるようにしています。

ArcGIS Online 組織向けプランの感想②Esri Maps for Office

Posted by kiri on 2012 年 12 月 13 日
GIS, Web, 地図 / No Comments

まだ組織向けアカウントの期限が切れていないようなので、Esri Maps for Officeの感想を少々。

Esri Maps for Officeというのは、ExcelとPowerPoint向けのプラグインで、ワークシートに地図を追加したり、シート上のデータを地図上に表示させたり、スライドに地図を追加したりすることができる。Excel上で利用できるので、GISソフトがなくても地図表示を中心とする簡易GISのような使い方ができる。また、PowerPointでは、ネット環境さえあれば、プレゼンのときに地図を見せたり、気になれば属性も表示させたりすることができる。便利そうではあるが、これも、利用するには組織向けアカウントが必要になる。とりあえず使ってみたい人は30日の無料トライアルを(なんか宣伝してるみたいだ(笑))。

今回は、Excel上のEsri Mapsについて少し。

Esri Mapsで地図を表示した状態

Esri Mapsで地図を表示した状態

画像のように、Excel上に地図を載せることができる。もちろん、Excelデータの情報を、地図上に表示することもできる。地図上に表示するには、位置情報や住所データが必要になる。位置情報については、経緯度しか対応していないようなので、平面直角座標系などの座標値は使えない。住所データについては、日本の住所でもジオコーディングに対応しているので、町丁や番地レベルの情報が含まれた住所データであれば通常は問題なくジオコーディングできる。

前回の記事の関連で、今回はiタウンページから石川県加賀市の温泉旅館の住所リストを作って、ジオコーディングしてみた。重複を消したりして作成した53件のデータのうち、ジオコーディングに成功したのは22件で、31件はエラーになった。

ジオコーディングの結果

ジオコーディングの結果

ジオコーディングの精度が悪いのは、基本的にはデータの問題のような気がするが、タウンページで使用されている表記ぐらいには対応してほしいところ。今回のデータのうち、「成功」となったデータのほとんどは山代温泉のもので、山中温泉や片山津温泉の旅館のデータはジオコーディングできなかった。ちなみにGoogleマップでは正しい場所が表示されるものもあるので、ジオコーディング側(住所認識のシステムや住所データ)で対応できる問題のように思う。○○町1丁目1-1のような住所ならジオコーディングしやすいと思うので、大都市(住所体系の複雑な京都は除く)のデータがほとんど、という場合には問題にはならないかもしれない。

また、「成功」の意味は少し怪しく、多少間違っていても認識できたものは「成功」になっているようで、いくつかのデータは間違った場所にポイントされている。CSISのアドレスマッチングサービスのように、認識のレベルや精度が同時に利用できると正確さが判断できるので便利だろう。

もう一つ問題。画像にあるとおり、ジオコーディング結果にエラーがあると、「エラーの修正」という文字が表示され、クリックできるようになっている。しかし、エラーの修正自体は、地図上でできるわけではないようで(例えば間違った位置にあるポイントをドラッグして修正したり、認識できなかったデータを地図上にプロットしたりということはできない)、Excelのシート上の住所列の値を修正したうえで、ジオコーディングする必要がある。ただし、どこまで認識できているかはユーザー側に提示されていないので、どう直せばエラーなくジオコーディングができるのかはわからない。この点はできれば改善してほしい気がするが、そこまでするとちゃんとしたGISになってきてしまうかもしれない。

なお、ジオコーディングに際しては、ArcGIS Onlineで公開されているor自分の組織が公開しているフィーチャサービスを利用してテーブル結合することもできる。この場合は、住所情報でなくても、コードのようなものを使って地図上にデータを表示することができる。

さて、地図化に「成功」したデータについては、色分けなどができる。個別にアイコンを設定したり、自然分類などで色分けすることはできるが、階級区分のしきい値をキリのいい数字に変えるようなことはできない。ポイントデータをクラスターで表示したり、ヒートマップ(密度のラスタ)として表示したりすることもできる。ヒートマップは簡単に作成できるし、縮尺の変更に合わせて再計算されるので、けっこう便利かもしれない。

ヒートマップ(一部の位置は間違っている)

ヒートマップ(一部の位置は間違っている)

高度なGIS操作を求める人には物足りないと思うが、ごく手軽に地図化してみたい、という人であればEsri Maps for Officeはお試し版としていいかもしれない。

ArcGIS Online 組織向けプランの感想①iPadとスマホでフィールドワーク

Posted by kiri on 2012 年 12 月 12 日
GIS, Web, 地図 / 1 Comment

ArcGIS Onlineには組織向けプランというのがある。個人向けとの機能の違いは、フィーチャサービス(Feature Service)が使えたり、Esri Maps for Officeが使えたりする点にある。前者は、早い話がArcGIS Serverに似た機能をWeb上で提供してくれる感じのもので、後者はExcel上でGISが使えるというもの。今のところ、組織向けプランを利用するには、ArcGIS 10.1のサイトライセンスがあればその管理者に聞けば使えるだろうし、あるいは30日間のトライアル版のアカウントを作ることでも使える。トライアル版のアカウントを取得するには、このページにアクセスして、「30日間無料トライアル」をクリックして、手順に従う。今回は、トライアル版のアカウントを使ってみた感想。

さて、今回、ふと温泉旅行に行くことを思いついたので、そのついでにちょっとしたフィールドワーク(といってもほぼ写真を撮るだけ)をすることに。行き先は石川県の加賀市で、学生時代に入っていたサークルの、1回生のときの調査地だった場所。11年ぶりの訪問になる。調査の対象は、そのときの調査・研究対象だった、片山津と山代の温泉旅館で、事前にネット(楽天など)で調べたうえで、現存するもの、休廃業したものなどの写真を撮り、その他現地の状況を記録することにした。

事前の作業として、

1. ArcGIS Desktop(ArcInfo)で、ファイルジオデータベースを作成し、情報を保存するフィーチャクラス(ポイント、ライン、ポリゴン)を作成しておき、それぞれにアタッチメントが添付できるように設定した。アタッチメントを添付できるようにすると、iPadやAndroidなどでその場で撮影した写真を、個々のポイントなどに関連付けることができる。ただし、その設定にはArcEditorかArcInfoライセンス(10.1からはStandardかAdvanced)が必要。
2. そうして準備しておいたデータでmxdを作成し、ArcMap上からOnlineにアップロードしたうえで、Onlineのマイコンテンツ一覧から、フィーチャサービスを作成しておき、新しいマップを作成して、作成したフィーチャサービスをレイヤとして追加しておいた。
3. このマップを、自分の無料アカウントが入っているグループ(グループのオーナーは組織向けアカウント)で共有させて準備完了。

そして思い出の旅(笑)に出かけた。運悪く寒波到来の日で、寒いし雨も断続的に降るので、iPadなどを使ってフィールドワークには悪条件だった。それもあるけれども、iPadでフィールドワークというのは少ししんどいと感じた。

理由1. iPadで写真を撮るのは面倒。iPadを対象物に向けて写真を撮るのはけっこう重たいのでしんどい。iPad miniぐらいがちょうどいいかもしれない。
理由2. 野外では少々画面が見にくい。

例えば、これなんかを使って首からぶら下げれば、多少状況は改善されるだろうけれど、アタッチメント用に写真を撮る際の手間を軽減することはできない。もちろん、デジカメで写真を撮っておいて、あとでPCからブラウザ経由で写真だけアップロードという方法もあるけれど、せっかくの機能がもったいない。iPad miniならもう少しましな感じだけれど、ヨドバシで見ただけで、まだ現物は持っていない。というわけで、現地では主にAndroidスマホを利用した。画面は小さいものの、ArcGISアプリの機能は同じなので、そんなに問題はなく、写真撮影も簡単だった。Android搭載のデジカメとかなら(これとか)、カメラ1つだけで、よりきれいな画像を撮りつつ、ArcGIS Onlineにデータをアップできるかもしれない。

iPadは、ラインやポリゴンのように点をたくさん打つ必要があったり、少し広い範囲を表示しておく必要があるときに便利。なので、宿に帰った時とか、食事時とかに調査ルートを記入したりするのに使った。

旅行から帰ってから、データを見ようとArcGISからアクセスすると、10.0からは残念ながらデータが見れなかった。というわけで10.1が入ったマシンで閲覧。特にデータのチェックイン・チェックアウトをしなくても、編集したそばからデータが閲覧できるのは非常に便利。

ArcMap 10.1での表示

ArcMap 10.1での表示

ローカルに保存したければ、通常通りの手順で、シェープファイルやジオデータベースにエクスポートできる。ただし、アタッチメントを含めたままでデータをエクスポートするのはできない雰囲気で、こちらの環境のせいかもしれないが、Esriのフォーラムを見る限りでは、まだできない機能のようだ(米国Esri社員によるこのスレッドの最後の発言によれば、エクスポートや手動での更新よりもデータの同期に重きをおいているので、しばらくその機能は搭載されないとのこと)。この部分は非常に残念。もうすぐ組織向けアカウントの期限が切れるので、アタッチメントの写真を1つずつローカルに保存しておくはめに(携帯にもデータはあるので絶対に必要というわけではないけれど)。

ちなみに、今回の作業は、ArcGIS Serverでもできる(はず。同じ実験はしていない)。もしArcGIS Serverを運用できる環境下であれば、無理にArcGIS Onlineを使う必要はないかもしれない。クレジットを消費してしまうし。ただ、組織向けアカウントがあれば、Esri Maps for Officeが使えるので、ArcGIS Serverも運用できる環境なら、組織向けアカウントはEsri Maps for Office専用にして、データ共有・編集はServerで、という使い分けがよさそうだ。

もうすぐトライアル版のアカウントは期限切れなので微妙だけれど、もし大学でのアカウントが使える状況になるのであれば、Esri Maps for Officeについても何か感想を書きます。温泉街の現状・変化についても、データをもう少し整理して何か書く予定。