最近、ArcGIS Onlineを積極的に使い始めた。ArcGIS Onlineはその名のとおり、ESRIが作ったサイトで、YouTubeの地図版といった感じのもの。ユーザーが独自の地図を作って、それを共有する、という仕組みは今までにもいくつかあり、Googleのマイプレイス(旧:マイマップ)や、これまで2回行ったUCLのCASAでもMapTubeやgemmaというサービスが作られている。
ArcGIS Onlineの有利な点をいくつか挙げると
- 日本語対応
- レイヤの重ね合わせが簡単
- Bing Mapsなどのベースマップになるレイヤが利用できる
- 自分で地図を作ることもできる
- ArcGIS Serverで公開している地図もレイヤとして利用できる
- iPhoneやiPad、Android携帯からも閲覧できる
- 全員に公開しなくても、自分だけor特定のグループだけで閲覧できる
という感じ。ArcGISユーザにとって、何といっても便利なのは最後の3つ。ArcGIS Serverでは普段使うmxdファイルと地図データだけで地図の公開ができ、ArcGIS Online上で地図を作成するまでの操作もかなり簡単にできる。作成したマップをとりあえず自分だけ閲覧できる状態にして、iPadにArcGISのアプリをインストールして表示すれば、モバイル環境で地図データの閲覧ができる。モバイル環境での編集もできるようだけれど、これにはArcSDEサーバが必要らしい(まだ実験していない)。
ここ数日、iPadでいろいろと表示させてみて思ったのは、これを使うと、巡検やフィールドワークに非常に便利なのではないか、ということ。現地に行って、古い地図を見ながら昔の景観を想像する場合、現在地を古い地図上で探そうとすると、比較のための基準となる道路などがなかったりするので、どこにいるかわからなくなることが多い。ジオリファレンスされている、という前提が必要なものの、そういう地図データがあれば、ArcGIS Onlineなどを通じてiPad上のArcGISに表示すれば、GPSなどで現在地がわかるし、現代の地図のレイヤからも位置が想像できる。ArcGIS Onlineで地図を共有すれば、フィールドワーク・巡検の同行者も同時に地図を見ることができるし、例えば昔のことを聞き取るときなどに、調査対象者に地図を見せながら聞き取る、なんてことも簡単になるだろう。機会があればいろいろと実験してみたい。